2020年の大学入試改革がおこなわれます。文科省が教育政策の方向性を大きく変えようとしているのです。どのように変わるのでしょうか。
これは単に試験の制度を変えるだけの話ではなく、日本の教育のあり方を根本から変えようとする教育政策と言われています。
具体的には、大学入試センター試験を廃止し、それに代わる記述式を取り入れた新テストの導入だけのことですが、問題はそんな薄っぺらものではありません。
知識偏重主義から、知識を前提とした思考力・判断力・表現力を育てる教育へと、文科省が180度大きく舵を切るのです。従来の知識詰め込み型の勉強が否定されてしまったことになります。
なぜでしょう?
日本の今後を見据えると、今までの教育制度では日本経済が立ちいかなることが分かってきたからです。少子化に伴う労働力不足や産業の空洞化を懸念する声を聞き始めて久しくなりますが、いよいよ何か手を打たなければならない状況であることが文科省を動かしたといえます。
20数年前文科省は、「一握りのエリートと大多数の労働者」がいれば日本経済は安泰として現在の教育政策を実施しました。
しかし、今後の日本を世界の中に埋没させないために必要なのは、世界に恒久的に通用する「頭脳」なのです。ごく一部のエリートによる頭脳ではなく、国民一人一人が「主体的頭脳」を持って、世界と渡り合わないと日本はダメになる、という危機感が、今回の一大転換をもたらす考え方でしょう。
グローバル化が進む社会にあって、主体的に様々な人と同じフィールドで、世界を相手に活躍できるだけの力をつけていく、というのがその狙いです。
したがって、新たな入試制度に切り替わったとき、従来の偏差値は通用しなくなります。
東京大学を頂点とする、偏差値の順位による学校のピラミッド階層も、崩壊するでしょう。偏差値の高さではなく「何を学ぶか」によって学校を選択することになります。
今回の教育改革の指針は、「主体的に学ぶ姿勢」です。
これは、進研イーストの方針である「自学力を育てよう」と同じ意味なのです。社会で求められている、「自分で課題を見つけて、その課題の解決方法を模索して、自分なりの答えを出せる力」です。
このコーナーでは、おりに触れ取り上げたいと思っています。